日常的な除菌対策は、できるだけ使いやすく一つの種類で多様な場所に対応する薬剤を選びたいものですよね。
除菌効果が期待できる様々な薬剤の中でも「次亜塩素酸」は、ノロウイルス対策に有効な薬剤として近年ではその名前を耳にする機会も多くなってきているのではないでしょうか?
そこで今回は、次亜塩素酸の特徴を生かした効果的な使い方についてご紹介したいと思います。
次亜塩素酸のシーンごとの使い方とは
除菌効果を持つ塩素系の成分の中でも、ツンとする特有のニオイが気にならず直接手で触れても皮膚への影響なく使えるのが次亜塩素酸です。
また、いわゆるハイターのように希釈することが基本の使い方とされる成分とは異なり、原液のままでも薄めても使えるという特徴を持っているため、生活のさまざまなシーンにおいて使い方が選べる除菌成分だと言えるでしょう。
次亜塩素酸は次亜塩素酸水として一般向けに市販されており、そのうちもっとも高濃度な種類では400ppm程度のものが入手できるようになっています。
ちなみにこのppmというのは、水1リットルあたりに何ミリグラムの次亜塩素酸が含まれているのかを示すもので、400ppmの場合では水1リットル中に40ミリグラムの次亜塩素酸を含む水溶液であることを示しています。
この濃度を基準にした効果的な使い方の一例は次のとおりです。
高い濃度を活かした使い方
次亜塩素酸水の効果を最大限に生かせるのが、全く希釈をせずに高い濃度を維持したまま使う方法です。
もっとも代表的な使用方法がノロウイルスによって生じる吐しゃ物や排泄物の処理で、二次感染を防ぐ意味でも徹底的な殺菌効果が期待できます。
次亜塩素酸水が特にノロウイルス対策に有効と言われる理由は、ノロウイルスの性質とも関係があります。
ノロウイルスは他の病原性ウイルスとは異なり、エンベローブという脂質の膜を持たない形状をしています。したがって、ウイルスが持つ脂質の膜を破壊することで効果を表すアルコールなどでは菌への直接的なアプローチができません。
対して次亜塩素酸水は低い濃度でも高い殺菌効果を表すため、これをそのまま使う方法でも菌を全て死滅させることも簡単にできるのです。
また、次亜塩素酸水は消臭効果にも優れた力を発揮する成分ですので、排泄物等の臭いも同時に消し去ることができ一石二鳥の効果があります。
上記以外にも、同じように希釈をせず使うことがおすすめなのは浴室内のカビ取り・便器内の掃除などとなります。
こうした汚れは目には見えない範囲にまで広がっている可能性がありますので、スプレー容器などを使って十分な量の次亜塩素酸水が行き渡るよう注意して噴霧することが大切です。
中程度の濃度を活かした使い方
ここではあくまでも400ppmを最大濃度としていますので、その半分の200ppm程度を中程度として進めてまいります。
お手持ちの次亜塩素酸水が400ppmであれば、まずこれを水で2倍に薄めてお使いになることをおすすめします。
中程度に薄めた次亜塩素酸水は主にキッチン周りの除菌と消臭に役立てることができ、日常的に使う包丁やまな板、シンクの三角コーナーやゴミ箱、スポンジやフキンなどの消毒と殺菌に効果があります。
ここで注意したいのはその使い方で、調理器具やフキンなどの汚れを先に落としてから次亜塩素酸水を使用するようにして下さい。
このことには、殺菌したい菌よりも先に汚れの方に作用してしまうことを避ける意味があります。
とても重要なポイントとなりますので注意しましょう。
さらに中程度の濃度の次亜塩素酸水では、エアコンのカビ臭にも効果があります。
本体に直接吹きかけるのではなく、きれいに掃除した状態で外したフィルターにのみにスプレーするのが正しい使い方のポイントです。
低い濃度を活かした使い方
布製品や空間に漂うイヤな臭い、またはペット用のトイレなどの除菌と消臭に役立つのが100ppm程度の低い濃度に薄めた次亜塩素酸水です。
次亜塩素酸水の性質には、成分が壊れやすく水溶液としての長期保存には向かない特徴と効果の持続性に欠けるといったデメリットがあります。
短期間に使い切れる量の濃度に薄めた次亜塩素酸水をスプレー容器に入れおけば、玄関やトイレ・寝室など、気になった時すぐ使えて便利なのではないでしょうか。
直接口に触れる部分なら、こんな使い方も
厚生労働省によって食品添加物にも指定されている次亜塩素酸水は、手肌の消毒だけでなく口に含んでうがいにも使える成分です。
この場合の濃度は50ppmが目安で、直接口にするものでは赤ちゃん用の哺乳瓶やおもちゃ・ペットが使う食器などの消毒にも次亜塩素酸水の殺菌効果が期待されます。
また最近では医療機関だけでなく家庭用にも普及しつつある次亜塩素酸水の噴霧器などのように、空間全体を除菌消臭することにも適した濃度となっています。
これに限らず市販の加湿器などと次亜塩素酸水を併用したい場合には、製品の取り扱い表示に従って無理のない使い方で十分安全に留意した上で使用される事をオススメします。
〈参考〉
厚生労働省:次亜塩素酸に関する資料