アルコールでは除菌効果が期待できないノロウイルスの対策に有効な「次亜塩素酸」。次亜塩素酸はノロウイルス以外に、ロタウイルスやインフルエンザウイルスにも効果がある、まさに万能とも言える除菌剤なんです。

今回はそんな次亜塩素酸のメリットやデメリット、安全性について解説していきたいと思います。

 

「次亜塩素酸」とは

ノロウイルスの消毒に有効と言われている「次亜塩素酸」とは、一般的には「次亜塩素酸ナトリウム」の事を指して言います。

その具体的な使用例としては、塩素系漂白剤である花王のキッチンハイターや塩素系消毒剤であるミルトン(哺乳瓶の消毒剤)などに次亜塩素酸ナトリウムが成分として含まれています。

ノロウイルス対策に次亜塩素酸ナトリウムを使う場合、原液をそのまま使用するのではなく必ず水で薄めてから使いましょう。塩素系消毒剤の濃度は、商品によって1%~12%とかなりの差があります。そのため、その商品の濃度をきちんと確認してから希釈しなくてはいけません。

便や吐しゃ物が付着したものを消毒する際に必要な濃度は0.1%

原液の濃度が5%の場合は50倍、10%の場合は100倍に薄めてください。

衣服や器具の漬け置き、便座・ドアノブ・手すり等の拭き取りに必要な濃度は0.02%

原液の濃度が5%の場合は250倍、10%の場合は500倍に薄めてください。

薄める時は、1リットルの水に次亜塩素酸ナトリウムを加えて作ると必要量が分かりやすいのでオススメですよ。

次亜塩素酸ナトリウムのメリット

手に入りやすく、コストパフォーマンスが高い

キッチンハイターやミルトンはドラッグストア等で売っているので、簡単に手に入れることができます。また、商品自体の価格もそれほど高くない事に加えて、希釈して使うのでコストパフォーマンスも良好です。

消毒以外にも使える

ノロウイルス対策だけではなく、しみ抜きや漂白にも使うことができるので1本持っておくとなにかと便利です。

次亜塩素酸ナトリウムのデメリット

臭いがきつい

ハイター等の塩素系薬剤を使用したことのある方はご存じと思いますが、強い塩素臭がします。

皮膚に対する刺激が強い

次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性なので、アミノ結合を加水分解してしまいます。つまり、タンパク質を腐食する作用があるということなのです。そのため、原液の次亜塩素酸ナトリウムが肌についてしまうと、やけどの様な症状が起こってしまいとても危険ですので取り扱いには充分な注意が必要となります。

希釈すると長持ちしない

水で薄めた次亜塩素酸ナトリウムは時間の経過とともに効果がなくなっていってしまいます。そのため作り置きができず、必要な時に毎回作らなくてはいけないので手間がかかります。

混ぜると危険な場合がある

次亜塩素酸ナトリウムは他の洗剤等と混ぜると危険な場合があります。特に、強い酸性の洗剤と混ぜると有毒なガスが発生するので絶対に混ぜないよう注意しましょう。

安全性が高いのは「次亜塩素酸水」

近年、病院や保育園でも導入が進んでいる「次亜塩素酸」。この「次亜塩素酸」は、実は先程紹介した「次亜塩素酸ナトリウム」ではなく「次亜塩素酸水」のことなんです。

「次亜塩素酸水」は「次亜塩素酸ナトリウム」と比べて安全性が高いので、病院や保育園で積極的に使われています。

「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は名前が似ていることもあり、混同されることもありますが、全くの別物なので注意してくださいね。

「次亜塩素酸水」とは

厚生労働省によると、次亜塩素酸水とは「殺菌料の一種であり、塩酸又は食塩水を電解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液」とされています。

この説明では何のことかさっぱり分かりませんが、実は次亜塩素酸そのものが人の体内で作られていて、免疫機構として病原体や細菌を攻撃している成分なのです。

このように人体にとって親和性の高い成分だからこそ、強い殺菌力と高い安全性を持ち合わせているというメリットがあるのです。

次亜塩素酸水は平成14年に食品添加物として指定されています。つまり、厚生労働省によりその高い殺菌力と安全性が認められているということになりますね。

「次亜塩素酸水」のメリット

強い除菌力

次亜塩素酸水はノロウイルスだけではなく、ほとんど全てのウイルスや細菌、病原菌に対して効果を発揮します。

高い安全性

有機物と触れると分解してしまうので残留することがなく、誤って飲み込んでしまっても人体には何の影響もないというほど安全性が高い成分なのです。

また、肌に触れたり目に入ったりしてしまっても問題が無い事から、手指の消毒などにも使うことができるのです。

さらに人体だけではなく、環境に対しても安全で優しい成分なのです。

空間も除菌できる

噴霧することでお部屋などの空間の除菌も可能です。高い除菌力と安全性を兼ね備えている次亜塩素酸水だからこそできることですね。

「次亜塩素酸水」のデメリット

除菌力も安全性も高い次亜塩素酸水ですが、唯一のデメリットが「コストパフォーマンスが良くない」ということでしょう。

次亜塩素酸ナトリウムの場合は、ハイターやミルトンなどの商品として気軽にドラッグストア等で購入できる事に加えて、希釈して使用するのでとてもリーズナブルです。

しかし、一方の次亜塩素酸水は家で希釈して作ることはできません。「次亜塩素酸水」として販売している商品を購入するしかないのです。

とはいえ、特に小さなお子様のいるご家庭などでは、次亜塩素酸水の持つ高い殺菌力と安全性は魅力的ですよね。最近ではドラッグストア等で簡単に購入することができる次亜塩素酸水も増えてきているので、一度試してみてはいかがでしょうか?

<参考>

・全ての細菌・ウィルスから身を守る究極の除菌水「次亜塩素酸水」の効果

次亜塩素酸水とは

「次亜塩素酸」と「次亜塩素酸ナトリウム」の違い

・高杉製薬

製品Q&A

・広島市ホームページ

消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)

・ディゾルバウォーター

結局ここに行き着いた、インフルエンザ対策に次亜塩素酸水