その優れた除菌力などによって近年ますます注目を集める次亜塩素酸製品について耳にしたご経験をお持ちの方や、もうすでに愛用しているというという方も多いかと思います。
しかしながら、化学薬品である次亜塩素酸にはいくつかの種類があり、御用による事故を防ぐためには正しい知識を学ぶ必要があります。
そこで今回は、高い殺菌効果を持つ次亜塩素酸ソーダに注目し、その特徴や安全性などについてご紹介いたします。
次亜塩素酸ソーダの基礎知識
まず最初に、次亜塩素酸ソーダの基礎知識について確認しておきましょう。
次亜塩素酸ソーダとは?
先に結論から述べると、次亜塩素酸ソーダとは次亜塩素酸ナトリウムの別名であり、上水道やプールの殺菌などに使われている他にも液状の塩素系漂白剤としてご家庭内でもなじみの深い化学薬品のことなのです。
この次亜塩素酸ソーダの水溶液はアンチホルミンとも呼ばれており、殺菌料として野菜や果実などの食品の消毒にも使用されているほか細菌類やウイルスの消毒などにも使用されている、私たちの暮らしにとって欠かすことのできない非常に有用な化学薬品なのです。
次亜塩素酸製品の種類について
次亜塩素酸製品には、次亜塩素酸ソーダの他にも次亜塩素酸水という種類の化学薬品を使用して作られるものがあります。
非常によく似た名前を持つこのふたつの化学薬品ですが、まったく異なる特徴がありますので取り扱いにあたっては正しい知識による適切な使い分けが必要となります。
次亜塩素酸ソーダと次亜塩素酸水の最も大きな違いは酸性・アルカリ性を示すpHにあり、このことによってそれぞれの特徴や取り扱いにおける注意点において異なる特徴が生じます。
それでは以下に、次亜塩素酸ソーダと次亜塩素酸水の異なる特徴についてそれぞれご説明いたします。
次亜塩素酸ソーダ
次亜塩素酸ソーダを用いて造られる化学薬品のpHはアルカリ性となります。
このようなアルカリ性の液体にはタンパク質を溶かしてしまう性質があります。手などの皮膚に塩素系漂白剤が付着した際に生じるヌルヌルとした感触に心当たりがある方もいるかと思いますが、これはアルカリ性である次亜塩素酸ソーダが皮膚を溶かしてしまったことによるものなのです。
また次亜塩素酸ソーダには、次亜塩素酸水と比較してより強い塩素臭を持つという特徴もあります。
さらに、除菌力においては次亜塩素酸水よりも劣るという特徴を持つ次亜塩素酸ソーダですが、しみ抜きなどの漂白目的においては次亜塩素酸水よりも有効であるという特徴も持ち合わせています。
次亜塩素酸水
次亜塩素酸ソーダとは反対に、次亜塩素酸水のpHは酸性となります。
同じ濃度で比較すると、次亜塩素酸水にはなんと次亜塩素酸ソーダの数十倍から数百倍にもおよぶ強力な除菌・消臭効果があることがわかっています。
また次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ソーダと比較すると長期保存に向かないという特徴もありますが、濃度がそれほど濃くない場合には人体内に入ってしまっても問題がないほどの優れた安全性があります。
このような特徴から、次亜塩素酸水は食品などの直接人体に触れるものの消毒に用いられるほか、手の殺菌やペット用品などの除菌消臭にも広く役立てられています。
次亜塩素酸ソーダの安全性と使用上の注意点
優れた安全性を持つ次亜塩素酸水とは異なり次亜塩素酸ソーダには御用によって生じる非常に大きな危険性があるため、その適切な取扱い方法についてしっかりと学んで正しく使用する必要があります。
前述のとおり、アルカリ性である次亜塩素酸ソーダには皮膚など人体のタンパク質を溶かしてしまうという性質があるため、ビニール手袋などを着用し皮膚に直接付着しないよう心がける必要があります。
また次亜塩素酸ソーダには、強酸性物質と混ざり合うことによって非常に毒性の強い塩素ガスを発生させるという性質があります。
製品の注意書きに「まぜるな危険」などの記載に従い、かならず換気をおこないながら正しく使用することを心がけましょう。
加えて、次亜塩素酸ソーダには以下の様な注意点もあります。
- 金属類を腐食させる性質があるため、金属類への使用を控えるか使用後にしっかりとふき取る
- 日光によって分解する性質を持つため、冷暗所で保管する
- 希釈した次亜塩素酸ソーダ水溶液は劣化するため、必要時に必要量を希釈し使用する
身近な環境における次亜塩素酸ソーダの正しい使い方
価格もお求めやすくスーパーやドラッグストアなどでも簡単に手にすることができる次亜塩素酸ソーダには、衣類やまな板などの漂白に役立つことに加えてチフス菌・大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌などの菌類やノロ・ロタ・インフルエンザなどのウイルス類に対して優れた殺菌効果を発揮するという特徴があります。
前述のとおり、次亜塩素酸ソーダには誤用によって生じる危険がありますが、正しく使用することで安全かつ簡単に身近な生活環境にその優れた効果を取り入れることができます。
次亜塩素酸ソーダ製品として身近に販売されている市販の塩素系漂白剤を上手に使用するためには、500mlペットボトルの空ペットボトルを使用することをおすすめいたします。
ペットボトルキャップ半分弱程度の塩素系漂白剤を500mlの水で希釈することで、濃度およそ0.02%程度の溶液を作ることができます。
この溶液をしみ込ませた布巾などでドアノブや便器などの人体に触れる箇所や調理器具などの除菌をおこなうことができます。
また、キャップ2杯程度の塩素系漂白剤を500mlの水で希釈することで、濃度およそ0.1%程度の溶液を作ることができます。
これを吐しゃ物や便などによって汚染されてしまった箇所に使用することで、菌類やウイルスなどをしっかりと除菌することができます。
いずれの場合においても使用上の注意点に留意しつつ、使用後にはしっかりと水ぶきするよう心がけましょう。
<参考>
高杉製薬:次亜塩素酸ナトリウムについて
たべるご:次亜塩素酸ナトリウムの危険性と有効性
備える.jp:次亜塩素酸水の使い方・家庭における活用方法について