本来では、菌やウイルスの消毒には熱湯が一番効果的であると考えられています。
しかし全ての物を熱湯消毒できるわけではないので、消毒には一般的にアルコールがよく使われています。
しかしこのアルコールも万能というわけではなく、ノロウイルスやロタウイルスには効果がないということをご存知でしょうか?
そんなノロ・ロタウイルスに効果を発揮してくれるのが、今回ご紹介する「次亜塩素酸ナトリウム」です。
今回は次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果や作り方(希釈の仕方)、注意点などについてまとめてみました。
次亜塩素酸ナトリウムとは?
次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウム水溶液に塩素を加えることで発生する次亜塩素酸のナトリウム塩です。
次亜塩素酸ナトリウムのままでは不安定な物質であるため通常は水溶液の状態で取り扱いされており、一般的には次亜塩素酸ナトリウム水溶液のことを指して「次亜塩素酸ナトリウム」と呼ばれています。
次亜塩素酸ナトリウムは家庭用塩素系漂白剤としても販売されており、「ハイター」や「ブリーチ」などとしてご家庭などにも広く普及しています。
後ほどきちんと説明しますが、次亜塩素酸ナトリウムは刺激が強い薬剤なので手に直接すり込むような使い方はできません。
規定の濃度に希釈したうえで、家庭内の消毒等に使用されています。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果
アルコールでは効果のないノロウイルスやロタウイルスも殺菌消毒できる次亜塩素酸ナトリウムは、インフルエンザウイルスはもちろんのことチフス菌・大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌などにも効果を発揮する優秀な殺菌成分です。
では、一体どのようなメカニズムで殺菌されるのでしょうか?
次亜塩素酸ナトリウムを水溶液にすると、水中に残留塩素が発生します。
残留塩素とは殺菌力のある遊離塩素および結合塩素のことをいうのですが、この残留塩素には細菌や微生物の呼吸を阻害して同化作用(代謝過程)をストップさせる作用があるので殺菌効果があるのだと考えられています。
残留塩素の中でも特に高い殺菌効果を持っているのが次亜塩素酸(HClO)なのですが、水溶液のph値が低いほど次亜塩素酸(HClO)の割合が大きくなるので殺菌力も高くなります。
ただし、ph値が低くなりすぎると有害な塩素ガスを発生するので注意しましょう。
次亜塩素酸ナトリウム希釈液の作り方
「ブリーチ」や「ハイター」などの塩素系漂白剤(塩素系消毒剤)として販売されている次亜塩素酸ナトリウムは、基本的に5%程度の濃度の製品がほとんどです。
消毒目的で使用するには濃度が濃すぎるため、用途に合わせて水で薄める必要があります。
例えば濃度5%の塩素系漂白剤を消毒目的で使う場合には、
- 手すりやドアノブの消毒・衣服や器具のつけ置き・・・0.02%濃度に希釈
- 便や吐しゃ物がついた床やおむつ、衣服の消毒・・・0.1%濃度に希釈
となりますが、これだけだと少しわかりにくいと思うのでペットボトルを使った簡単な希釈方法をご紹介します。
- 0.02%濃度に希釈・・・ペットボトルのフタ半分の塩素系漂白剤と500mlの水を混ぜる
- 0.1%濃度に希釈・・・ペットボトルのフタ2杯分の塩素系漂白剤と500mlの水を混ぜる
この方法では計量スプーン等も必要なく、ペットボトルさえあれば簡単に作ることができるので大変おすすめです!
ただし、水で薄めてしまった次亜塩素酸ナトリウムは時間が経つにつれて効果がなくなっていってしまうので、作り置きは出来ないと考えた方が良いでしょう。
やや面倒に感じるかもしれませんが、必要な時に都度希釈するようにしてください。
また、次亜塩素酸ナトリウムが入っているペットボトルの水を誤って飲んでしまうことがないように、消毒液であることがきちんと分かるようにした上で小さなお子様の手が届かない場所に置くように注意しましょう。
「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」の違い
次亜塩素酸ナトリウムとよく似た名前の「次亜塩素酸水」というものもあるのですが、実はこの2つは全くの別物なのです!
最近では安心・安全な除菌成分として幼稚園や医療機関で次亜塩素酸水の導入が進んできています。
次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水はどちらも除菌・消毒効果がありますが、手に触れても万が一飲んでしまっても大丈夫な次亜塩素酸水に対し、飲むのはもちろんのこと素手で触れるのもいけないほど次亜塩素酸ナトリウムは危険な成分なのです!
次亜塩素酸水は人体に対して安心・安全な成分でありながら、同じ濃度の次亜塩素酸ナトリウムと比較すると数十倍もの殺菌作用があると言われています。
これだけ優れている成分でありながら、まだまだ一般家庭に浸透していないのは比較的手に入りにくいというデメリットがあるからでしょう。
一方の次亜塩素酸ナトリウムは、使用上の注意点が多いというデメリットはあるものの、リーズナブルで手に入りやすいというメリットがあります。
正しい使い方の場合には特に危険のない次亜塩素酸ナトリウムですが、間違っても次亜塩素酸水と混同して直接手にすり込んだり、空間除菌に使ったりしないよう注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?
やや危険性はあるものの、簡単に手に入れることができる次亜塩素酸ナトリウムはアルコールでは効果のないノロウイルスやロタウイルスの消毒にぴったりです。
希釈の仕方や使い方をきちんと把握して、安全に使いましょう。
<参考>
・広島市ホームページ
・株式会社エコー
・株式会社 タクミナ
・Wikipedia
・高杉製薬
・神奈川県ホームページ