お部屋やトイレなどの空間に噴霧することで空気中の消毒・消臭ができる次亜塩素酸水。

手軽に噴霧することができるスプレーボトルタイブの製品に加えて、近年では加湿器によって空気中に噴霧することができる製品も増えてきています。

この記事では、次亜塩素酸水を使用できる加湿器やその使用上の注意点などについて解説いたします。

次亜塩素酸とは?

次亜塩素酸水と加湿器の関係を見ていくまえに、まずはしっかりと次亜塩素酸についての基礎知識をおさえておきましょう。

【HCIO】という化学式で表されるこの【次亜塩素酸】は、酸素原子に水素原子と塩素原子が結合することで出来るとてもシンプルな化合物です。 この【次亜塩素酸】はとても不安定な物質であるため、一般的には水溶液として保存されており、これを指して【次亜塩素酸水】と呼ばれています。

この次亜塩素酸水は、大変強力な殺菌・消臭効果と高い安全性を持ち合わせていることから、公共施設からご家庭内の除菌・消臭に広く取り入れられています。

次亜塩素酸水の強力な消毒・消臭効果

この次亜塩素酸水の性質として特筆すべきはやはりその強力な消毒効果にあると言えるでしょう。

次亜塩素酸水は、黄色ブドウ球菌・腸管出血性大腸菌(O-157)・カンピロバクター菌・サルモネラ菌などに代表されるほとんどすべての病原菌に対して強力な殺菌効果を発揮します。

さらにその消毒効果は病原菌にとどまらず、新型を含むインフルエンザや、アルコールにも強いノロ・ロタなどのウイルスに対しても強力に作用します。

この強力な消毒効果に加えて、有機物と反応し分解することによって次亜塩素酸水は強力な消臭効果を発揮することも知られています。

次亜塩素酸水の高い安全性

この次亜塩素酸水は、平成14年6月に厚生労働省によって食品添加物(殺菌料)として認可されいることからもその高い安全性が伺えます。

次亜塩素酸水は誤って飲んでしまっても大丈夫なほど人体に対して無害であることから、食品工場などの衛生管理から哺乳瓶の消毒まで幅広いシーンで活用されています。

さらに次亜塩素酸水は、有機物と反応することで「ただの水」へと分解されることから、環境に対しても無害であることがわかっています。

次亜塩素酸水と加湿器の関係とは?

次亜塩素酸水の基礎知識について確認したところで、ここからは次亜塩素酸水と加湿器の関係について解説してまいりたいと思います。

空間に噴霧することで空気中の消毒・消臭をすることができる次亜塩素酸水。 一般家庭などでも気軽に噴霧することができるスプレータイプの次亜塩素酸水に加えて、近年では次亜塩素酸水を自動で噴霧することができる加湿器タイプの製品も登場しています。

そこでここからは、次亜塩素酸水を噴霧することができる加湿器や使用上の注意点などについて解説してまいりたいと思います。

次亜塩素酸水を噴霧できる加湿器

空間中に次亜塩素酸水を噴霧することができる加湿器には、そのサイズや有効面積によってさまざまな製品があります。製品のサイズや有効面積などによって、5000円程度のものから10万円を超える製品までその価格帯もさまざまです。

設置場所や使用目的、ご予算などに応じて適切な製品を選ぶことが重要であると言えるでしょう。

使用上の注意点

次亜塩素酸水に対応した製品を使用しましょう

次亜塩素酸水に対応していない加湿器で次亜塩素酸水を使用すると、水漏れ防止などに使用されているゴムパッキンの劣化を招き水漏れの原因となります。この水漏れが原因となって漏電へとつながり、故障の原因となってしまいます。

さらに、最悪の場合には漏電が原因となって火災などの大事故を招いてしまう可能性もありますので、かならず次亜塩素酸水の噴霧に対応した加湿器を使用するように心がけましょう。

次亜塩素酸ナトリウムは使用できません

次亜塩素酸水としばしば混同されがちなのが【次亜塩素酸ナトリウム】です。

この次亜塩素酸ナトリウムも漂白や除菌目的に使用されますが、直接皮膚に触れるとただれる恐れがあることに加えて、吸引してしまうと口や喉の粘膜組織を荒らしてしまいます。

さらに、吐き気や嘔吐などの体調不良を引き起こす場合もあり、最悪の場合には眼に入り失明してしまう危険性もあります。

使用に際しては、次亜塩素酸水であることをかならず確認したうえで、次亜塩素酸ナトリウムの誤用を避けるよう注意しましょう。

適切な濃度の次亜塩素酸水を使用しましょう

次亜塩素酸水はその用途によって適切な有効塩素濃度に調整する必要があります。

ノロウイルス患者の嘔吐物・排泄物の処理後の除菌などには有効塩素濃度400〜600ppm程度のものが使用されますが、空間に噴霧する場合には一般的に有効塩素濃度50ppm程度のものが良いとされています。

適切な濃度に調整されている次亜塩素酸水を使用するか、製品の取り扱い説明にしたがって適切な濃度に希釈し使用することが重要です。

加湿器自体の衛生管理も重要です

近年、特別養護老人ホームにおいて加湿器の清掃を怠り不衛生な状態で使用し続けたことによって、レジオネラ菌の集団感染が起きてしまい死亡者まで出るという痛ましい事故が発生しました。

本来はインフルエンザや風邪を予防するために使用する加湿器ですが、清掃を怠ると加湿器の内部で細菌やカビが繁殖してしまい、結果として空間にまき散らしてしまうことにつながります。

加湿器の使用にあたっては、タンク内に残った水は継ぎ足して使用せずかならず交換することが重要です。 加えて、フィルターや内部などの定期的な清掃を心がけましょう。

加湿器の清掃の際にも、次亜塩素酸水を使用することでしっかりと消毒・除菌をおこなうことができます。

次亜塩素酸水と加湿器、いずれにおいても正しい使用方法を心がけて適切に空間などの除菌をおこなうよう心がけましょう。

<参照>

次亜塩素酸水の作り方

5分でわかる!次亜塩素酸水

次亜塩素酸水(厚生労働省資料:pdf)

次亜塩素酸水を加湿器(噴霧器)に入れてもいい?