口や鼻などの粘膜から侵入する細菌に対しての予防効果が期待できることから、手洗いとともに広く薦められている感染症対策のひとつがうがいです。

うがいの際には市販のうがい薬などを利用するという方も多いかと思いますが、豊富な種類の製品の中から含まれる成分の特徴などを見極めて適正に使用するというのは意外と難しいものです。

そこで今回は、身近な殺菌・消毒からノロウイルス対策まで幅広く使うことのできる成分である次亜塩素酸を使ったうがいの方法についてご紹介していきたいと思います。

次亜塩素酸の特性

「塩素」という名前だけで何か体に悪いもの、または刺激の強いものといったイメージと捉えられてしまいがちですが、次亜塩素酸は国の食品添加物にも指定される殺菌成分としてその効果が認められているものです。

アルコールでは菌を死滅させることのできないノロウイルスにも対抗できる強力な殺菌効果は、インフルエンザやO-157などを引き起こす多くのウイルスや菌の殺菌にも効果を示すことが知られています。

塩酸や食塩水を電気分解することによって作られ、国が認める基準値のpH度を維持している次亜塩素酸の水溶液は、直接手や皮膚に触れても安全かつ鼻をつくような強い塩素臭もないのが特徴です。

さらに、口の中に入るものを処理する調理器具や食器などの殺菌にも使える次亜塩素酸の中でも特に一般的な家庭用として流通しているタイプは、「微酸性次亜塩素酸水」に分類されるため、その高い効果をうがいにも活用できるようになっているのです。


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次亜塩素酸をうがいに使用する時のポイント

濃度に注意する

生活の中の殺菌・消毒に用いる次亜塩素酸は成分が不安定であるため、もともと長期保存には向かいない特徴を持っています。

そのため、日常使用においても使う分だけその都度水で薄めて使用するというのが一般的ですが、これをうがいに用いる際にもやはり適正な濃度に薄めるというひと手間は欠かせません。

うがいに適する濃度の目安は「50ppm」。

これは健康上全く問題のない濃度としてうがいをはじめとした生体への使用時に推奨されている濃度であり、人やペットが使う物や口の中の消毒に用いて効果を得られる次亜塩素酸水溶液となります。家庭用として市販の次亜塩素酸水を購入した際にはパッケージを良く確認し、用途によってどの程度の希釈を必要とする製品なのか把握しておくことも必要です。

次亜塩素酸を用いた効果的なうがいの方法

では、実際に次亜塩素酸水を使った効果的なうがいの方法をご紹介します。

  1. うがい用に希釈した次亜塩素酸水10CC程度を用意する
  2. 約30秒間口の中で水溶液を転がすように行き渡らせる
  3. 口に残った次亜塩素酸水を吐き出し、わずかでも塩素の匂いが気になる時は水ですすぐ

次亜塩素酸を使ったうがいは長く口に含んでいれば効果が高いというものではありません。

また、口の中の汚れや細菌に反応することで成分の匂いがきつく感じられることがありますので、うがいの時間は15秒から30秒を目安に留めておくのがおすすめです。

安全で副作用はないものの、使用中に口の中の刺激を感じる、腫れや炎症が起こったなどの場合は念のため医療機関を受診するなどしておくと安心でしょう。

歯科治療と次亜塩素酸の関係

口腔内の病気の中には虫歯や歯周病など細菌感染によって引き起こされるものがあり、それらの治療をおこなう上で体に害の少ない殺菌・消毒の成分として歯科でも注目されているのが次亜塩素酸です。

実際の歯科治療では、次のような場面で次亜塩素酸の効果が期待され、取り入れられています。

バイオフィルムの除去

バイオフィルムとは、虫歯や歯周病を引き起こす細菌の塊です。これを放置すれば歯の病気のリスクが高まるのはもちろん、嫌な口臭を招く原因にもなります。

歯科では、超音波を利用したスケーラーという器具を用いる際に次亜塩素酸を一緒に吹き付けることで歯の周りにこびりつくバイオフィルムを分解して破壊するのに用いられます。

虫歯や歯周病菌を死滅させる

ほとんどの細菌に対して除菌や殺菌の効果を示すのが次亜塩素酸です。

バイオフィルムが形成された状態だけでなく、病気に侵されていない健康な歯を細菌の害から守るという意味でも歯科治療の現場において積極的に用いられる成分となります。

さらに、次亜塩素酸は炎症を引き起こす免疫機能を抑止する効果があり、消炎効果にも優れている点が歯科治療でも評価されています。

患者が使用するうがい用の水として

一度でも歯医者さんで治療を受けたことのある方であれば、診療室でコップの水を口に含む機会があったはずです。この時に使用されているのも実は次亜塩素酸を使った水溶液。繰り返し口にしても安全であり、なおかつ口の中の病気や炎症に効果を示すものだからこそ選ばれている水ということになります。

衛生的に飲み水としての基準も満たしているのが一般的な日本の水道水ですが、それをうがいに使用したとしても人を死に至らしめるようなパワーを持つ細菌には打ち勝つことができません。

多くの菌に対しすでにその効果が認められている次亜塩素酸を上手に活用して、恐ろしい感染症から体を守っていきたいものです。

〈参考〉

厚生労働省次亜塩素酸に関する資料

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf

 

備える.jp

http://sonaeru.jp/goods/disinfectant/hypochlorous-acid-water/g-23/