心躍る海外旅行。ですが、そこには感染症へのリスクがそこかしこに転がっています。普段とは違う環境に身を置くからこそ気を付けたい感染症。ここでは海外旅行における感染症対策について考えていきます。

 

旅行前の準備

旅行先が決まったら、まずは、その国や地域でどんな病気が流行っているのか、またはその土地特有の感染症があるかどうかを調べましょう。厚生労働省検疫所等のホームページで確認することができます。

感染のリスクを下げるために重要なのが予防接種です。旅先によっては予防接種をしていなければ入国できない国もあり、複数回接種が必要な場合も。旅行代理店等を通して旅行を予約すればこうした事を教えてもらえる場合が多いですが、自己手配する際は予防接種の必要性を念頭に置いておきましょう。医師などに旅行先で具合が悪くなった場合の対処法などを教えてもらっておくのも安心です。

 

飲食時の感染

旅行先で最も多いのが飲食時の感染です。感染の原因菌はいつ、どこで付着するかわかりません。外出から帰ってきた時やトイレ後、そして飲食の前には、せっけんやハンドソープを使い、できる限り入念に手洗いをしましょう。

原因菌は食べ物や飲み物に含まれていることもあるので、食事には加熱や消毒によって殺菌されたものを選ぶ必要があります。飲料水は殺菌されたボトル入りのものを選び、氷もボトル入りの水を使って自分で作ると安全です。食べ物は完全に火が通ったものを選び、衛生面で不安のある国の場合は特に、生野菜やサラダなどは避けるようにしましょう。ホテルやレストランのビュッフェでは、調理後放置され低温になってしまった料理も避けた方がより安全です。加熱後すぐの湯気が出ている状態のものか、または冷蔵保存されたものを選ぶようにしましょう。

 

蚊からの感染

蚊はマラリアやデング熱等の病原菌を媒介します。気が付かないうちに刺されてしまうことがないよう、虫がいそうな場所を避け、虫よけ対策を十分にすることが大切です。デング熱やチクングニア熱などを媒介する蚊は日中に活動し、マラリアを媒介する蚊は夕方や明け方、夜に活動します。こうした蚊の行動パターンを知り、対応する虫よけ剤を使用しましょう。感染症の注意が必要な地域では、なるべく肌を出さない服装を心掛け、宿泊には網戸や蚊帳を備える施設を選ぶと安心です。

 

ダニからの感染

ダニはクリミア・コンゴ出血熱やライム病、回帰熱等の病原菌を媒介します。ダニに汚染されている地域に行くことはできるだけ避けたいものです。また、家畜やペットの体にダニが寄生している場合もありますので、旅行中は動物との接触を避けるようにしましょう。やむを得ない場合は、虫よけ効果のある衣服を着用し、虫よけ剤も使用します。袖口がぴったりとした“色の薄い”長そでは、予防だけでなく、くっついたダニを見つけやすいのでおすすめです。万が一ダニに咬まれてしまったら、皮膚科で取ってもらうのが安全です。クリミア・コンゴ出血熱などを媒介するマダニ類はなるべく早く取った方が感染のリスクが下がるので、発見したら速やかに医療機関を受診してください。

 

動物からの感染

一度発症したら助かることがないと言われている、狂犬病。日本では1950年代以降の発症は確認されていないそうですが、海外ではまだまだ対策が必要です。犬や猫、キツネやアライグマ、コウモリやマングース等感染源動物に咬まれることで感染しますので、動物には近づかない方が無難です。特にコウモリは接触しただけで感染した例もありますので、十分注意しましょう。

中東呼吸器症候群(MERS)は、ヒトコブラクダが病原菌を持っていると言われているので、接触は避けたいものです。

鳥インフルエンザも重症化しやすく、最も注意すべき感染症の一つです。病原菌を持った鳥や死んだ鳥に近寄ったり触ったりすると人にうつる場合がありますので、発生地域に行く場合は注意をしましょう。

その他、西アフリカではネズミが感染源となるラッサ熱という病気があります。初期症状がインフルエンザと似ているため、症状での判断が難しいことから重症化しやすく、死亡率も高いそう。動物は重篤な病原菌を持っている場合がありますので、海外ではむやみに触らない方が無難です。

 

人や空気からの感染

人が多い場所、例えば観光地や空港等では人から排出される病原菌も多くなります。麻しん(はしか)や風しんは、飛沫感染や接触感染、空気感染と様々な経路があり、かつ感染力も非常に高い病気です。これらの病気には予防接種が有効とされていますので、流行がある地域へ旅行する場合はご自身の接種履歴を確認してみましょう。

 

海外旅行で大切なのは、「自分の身は自分で守る」という認識。旅行先が決まったら、事前の対策をしっかりと行い、旅行中も危機感を持ちながら行動することが大切です。海外で何らかの感染症にかかってしまうと、日本に入国(帰国)が認められないということも。確実な知識と対策を持って、最後まで安全に旅行を楽しみましょう!

 

 

<参考>

厚生労働省検疫所「海外渡航のためのワクチン」「ここに注意!海外渡航にあたって

厚生労働省「狂犬病に関するQ&Aについて」「年末年始における海外での感染症予防について