健康維持やレジャー目的でプールを利用する方も多い中、近年耳にする「プール熱」と呼ばれる感染症に対する関心も高まってきています。

咽頭結膜熱という病気の正式名称であるプール熱はプールを利用する子どもの間で流行することが多く、その症状には高熱を伴うこともあり、大切なお子様の健康を願う保護者の方々にとって大きな関心事であると言えるでしょう。

このプール熱は、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされる感染症ですが、アデノウイルスという耳慣れないウイルスについてご存じでない方もまだまだ多いことかと思います。

そこで今回は、プール熱などの感染症の原因であるアデノウイルスとは一体何かについて、その感染症を防ぐ対策などを含めて解説してまいります。

アデノウイルスとは?

アデノウイルスという名前が示す通り、アデノウイルスはウイルスの一種です。

1953年に発見されたこのウイルスは51種類もの血清型に分類されますが、その中でも主に1~8型のアデノウイルスがヒトの感染症の原因として多く見られることがわかっています。

このアデノウイルスに感染すると、その血清型によって呼吸器・眼・腸管・泌尿器・生殖器などにさまざまな感染症状が発症します。

さらにこのアデノウイルスは、飛沫や接触・眼などからの分泌物・糞便などの経路を通じて感染するという特徴があり、この性質によってプールの水などを介して感染が拡大することがあり、前述のプール熱として感染・発症することがあります。

アデノウイルスによる感染症

プール熱の原因として知られているアデノウイルスですが、前述のとおりそのタイプによってさまざまな感染症状が発症します。

以下に、アデノウイルスに感染することによって発症する代表的な感染症について解説いたします。

気道炎

アデノウイルスによる気道炎を発症すると、発熱や咳を伴う鼻・咽頭炎・扁桃炎などを発症します。さらにケースによっては気管支炎や重症の肺炎を発症することもあるため十分な注意が必要です。

咽頭結膜熱(プール熱)

児童の間でプールを介して流行することが多いためプール熱とも呼ばれている咽頭結膜熱は、39度以上もの高熱と37度前後の微熱を一日の間に繰り返すという特徴的な症状があり、これが4~5日ほどの間にわたって繰り返されます。

扁桃腺の腫れやのどの痛みに加えて、結膜炎を発症する場合もあります。

その感染力から、学校保健安全法によって感染が確認されてから主要症状がなくなった後の2日間を登校禁止と定められています。

流行性角結膜炎

目の充血や目やにが主症状としてあらわれます。

年齢を問わず伝染性が非常に強いため、時として病院などで器具や手指を介して爆発的に流行するケースもあります。

胃腸炎

主に乳幼児期に多く見られる感染症であり、ロタウイルスによる胃腸炎とよく似た症状を発症します。感染者の便が主な感染経路となりますが、時として感染者の飛沫などからも感染する場合があるため注意が必要です。3~10日程度の潜伏期間を経て、下痢や嘔吐・発熱・腹痛などの症状を発症します。

出血性膀胱炎

アデノウイルスによって膀胱炎を発症すると排尿時の痛みとともに真っ赤な血尿が出ます。

一般的にこの主症状は2~3日ほどで開放へと向かい、尿検査によって判断される潜血も10日ほどで改善します。

アデノウイルスによる感染症を防ぐために

前述のとおり非常に強い伝染性をもつアデノウイルスへの感染を防ぐためには、手洗いなどによって手指を清潔に保つことや、マスクの着用によって飛沫感染を防ぐことが効果的です。

また、感染者が触れたタオルなどのリネン類やドアノブなどの手に触れる箇所に加えて、医療現場などで使用される器具類にもウイルス付着の可能性があります。

アデノウイルスは高熱に弱いという性質があるため、リネン類は熱水による洗濯(85℃1分間以上)、器具類は高圧蒸気滅菌などがアデノウイルスの消毒に有効です。

また、これらを使用できない器具については、次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールに着け置くことで消毒をおこなうことができます。

また、プール熱と呼ばれることもありプールのアデノウイルス汚染が気になりますが、プールの塩素消毒などによってある程度予防することができると考えられています。

感染しない・させないためにもしっかり対策を心がけましょう

非常に強い伝染力をもつアデノウイルスへの感染を防ぎ、拡大を防ぐためにはマスクの着用などによってしっかりと防御する心構えが重要となります。

また、手指を介して感染が拡大するため、石けんやハンドソープなどを用いて十分な手洗いをおこなうとよいでしょう。

手洗い後には、市販の消毒剤などを手指に使用することでより確実な感染・拡大の予防効果を得ることができます。

手指の消毒にオススメの製品について

手洗いに加えて消毒剤を使用することでより確実な感染症対策をおこなうことができますが、直接地肌に触れるものであるため消毒力に加えてその安全性も重要視すべきであると言えるでしょう。

ここからは、手指の消毒にオススメの消毒剤をご紹介いたします。

 

ファビュラス 500mLプッシュボトル(濃度200ppm)

※高い安全性と優れた除菌効果を兼ね備えた「次亜塩素酸水」を、手洗い後などに便利に使えるプッシュボトルにパッケージした製品です。次亜塩素酸水の持つ優れた殺菌力と素肌に使用しても安心な安全性を身近に使用することが出来るオススメの製品です。

 

 

手指消毒剤 アルボナース

※ベンザルコニウム塩化物を有効成分とした、速乾性の手指消毒剤です。病院や学校などに設置されていることもあり、比較的なじみ深い製品であると言えるでしょう。さまざまな微生物に短時間で効果を発揮する製品です。

 

 

ビオレu 手指の消毒スプレー

※有名ブランドの製品であり、ご家庭の手指の消毒剤として広く普及している製品です。ベンザルコニウム塩化物やエタノールによる消毒効果が期待できます。手肌にやさしい保湿成分を配合し、さらっとした使用感が得られる製品です。

 

<参考>

丸石製薬株式会社:アデノウイルス-概要と感染対策-

IASR:アデノウイルス感染対策