遠くの方から春の足音が聞こえ始めたものの、まだまだ寒い毎日が続きますね。街では、風邪予防やウイルス対策でマスクをしている方も多く見かけます。しかしこのマスク、「装着していればウイルスに感染しないはず」と、うっかり油断してしまいがち。マスクの種類によって実は防げるウイルスの種類が異なることを、皆さまご存知でしょうか。

ここではマスクの機能とウイルスの関係についての理解を深め、感染予防に効果的なマスクの選び方を考えていきます。

 

 

マスクの穴とウイルスの大きさについて

薬局やスーパーなどで売られている、いわゆる一般的な使い捨てマスクと言えば、「不織布マスク」ですよね。実はこのマスク、息をするときに空気が出入りする穴の大きさが5μm(1μm=0.001mm)に対し、インフルエンザウイルス単体の大きさは約0.1μm。つまり、マスクの穴の大きさは、インフルエンザウイルスのなんと約50倍ものサイズなのです!

分かりやすくするために、「茶こし」をイメージしてみてください。茶こしに小麦粉を入れて振ると小麦粉は簡単に茶こしを通過します。実は、サイズの対比で言うとこの小麦粉に対する茶こしの網目よりも、インフルエンザウイルスに対するマスクの穴は更に大きいのです。つまりウイルスは、茶こしの小麦粉よりも簡単にマスクを通過してしまうというわけなのです。

これだけ聞くと急に不安になる方もいるかもしれませんが、実生活におけるインフルエンザウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」がほとんど。咳やくしゃみによる飛沫感染の場合、ウイルスが水分を含むために5μm以上の大きさになると言われていますので、不織布マスクも効果が全くないというわけではありません。先ほどの茶こし例で言うと、少量の水分を含ませた小麦粉は茶こしの網目を簡単には通過しないというイメージですね。とはいえ油断は禁物です。

それでは、一体どうすればマスクの性能を見極められるのでしょうか?

 

マスクの商品パッケージに記載されている性能について

マスクの商品パッケージを見てみましょう。そこには、

  • PM2.5にも安心 空気中の微粒子99.9%カット
  • 花粉・細菌・ウイルス飛沫99%カットフィルタ採用
  • BFE、VFE、PFE各種試験99%遮断

などという記載があります。

よくニュースなどで耳にする「PM2.5」や「花粉」「細菌」に対し、「BFE」や「VFE」、「PFE」という用語はあまり親しみのない方が多いのではないでしょうか。

「BFE」、「VFE」、「PFE」。この3つは、専門機関による性能評価の値を示します。

「BFE」とは細菌(バクテリア)濾過率のこと。主に花粉や咳・くしゃみなどのウイルス飛沫などに対する濾過率の値です。サイズ3μmほどの対象物をどれほど遮断するか、ということを示しています。

「VFE」は生体ウイルス遮断効率のことで、サイズ平均2.8μmのインフルエンザなどの水分を含んだウイルス飛沫が対象です。

「PFE」は微粒子濾過率のことで、インフルエンザウイルスウイルス単体(飛沫核)やSARSウイルス、結核菌ウイルスなどのサイズ0.1μmを対象としています。

こうして比較すると、体内への侵入を防ぎたい対象物に対して“適した性能のマスク”を選ぶ必要性は言うまでもありませんね。インフルエンザなどのウイルス対策をするには花粉用のマスクでは不十分。もうお分かりだと思いますが、より徹底したウイルス対策には、「PFE」の基準をクリアしたものを選ぶのが良いというわけです。

 

N95規格

高性能マスクとして押さえておきたいのが、今やご家庭でも一般的になりつつある「N95マスク」。もともと産業分野において「防塵マスク」として使用されていたものですが、SARSや新型インフルエンザなどの流行、また中国から飛散する黄砂対策などで、最近では医療現場はもちろん、一般家庭でも認知度を高めています。

N95マスクとは、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格に合格したマスクのこと。N95の「N」は、“not resistant to oil(耐油性なし)”の意味で、0.3μm以上の固体の粒子に対し95%以上の捕集率が補償されています。厳しい基準をクリアしている一方で、顔への密着性が高いため、長時間着用していると息苦しさを感じやすいのが難点です。

 

顔の形に合ったマスクを

様々なマスクの種類と性能を理解したところで、次に徹底したいのが「装着方法」です。いくら専門機関によるどんなに厳しい基準をクリアしたマスクでも、顔とマスクの間に隙間があってはせっかくの機能が台無し。マスクを選ぶ際は、その目的に合ったものを選ぶと同時に、ご自身の顔のサイズや形に合ったものを選びましょう。

取り扱いにも注意が必要です。マスク装着時にはあまり表面を触らないようにし、外す際も表面に手を触れないようにします。1日1回以上はマスクを取り換え、使用後のものはビニール袋などに入れ口を閉じて破棄するのが理想的。マスク廃棄後は手指にウイルスがついている可能性も高いので、すぐに手洗いやアルコール消毒を行いましょう。

 

効果的なマスク選びには、単に「安いから」「見た目が気に入ったから」ではなく、その原理と防げるウイルスの関係をしっかり理解することが重要なのです。まだまだ油断できないこの季節。ご自身やご家族に最適なマスク選びを実践し、残りの冬を元気に乗り切りましょう!

 

 

<参考>
マスクの目とウイルスの大きさが分かりやすい絵

マスク利用について消費者へのアドバイス国民生活センター

遮断率試験について

防塵マスクと医療マスクの違い・粒子の大きさの表

厚生労働省 新型インフルエンザマスク着用のガイドライン